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企業の防災備蓄は義務?法律・条例の結論と必要量【2026年版】

総務・BCP担当向け防災庁11月発足2026年改定ガイドライン人数別の必要量早見表

公開日: 最終更新日: 文:作業用品ナビ編集部

「うちの会社も、防災備蓄をしないといけないのか」。総務やBCPの担当になると、まずこの疑問にぶつかります。調べると「義務」「努力義務」「推奨」と書き方がばらばらで、社内でどう説明すればいいか迷う方も多いはずです。

この記事では、条例と法律の根拠を整理したうえで、何を・何人分・どれだけそろえればよいかを数字で示します。11月2日に発足する防災庁、2026年1月に改定された内閣府のガイドライン、3月公表の企業調査も反映しました。

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結論企業の防災備蓄は「努力義務+安全配慮義務」で、実質的に必要

  1. 1全国一律に備蓄を義務づけた法律はない。東京都帰宅困難者対策条例の「3日分の備蓄」は努力義務で、罰則もない。
  2. 2ただし労働契約法第5条の安全配慮義務は、従業員を1人でも雇えば発生する法的義務。災害への備えもその判断材料になり得る。
  3. 3目安は全従業員の3日分。水9L・主食9食・毛布1枚・トイレ15回分が1人あたりの基本で、外部の帰宅困難者向けに1割を上乗せ。
  4. 4国の最新調査では、中堅企業の約4割がトイレを備蓄していない。水・食料の次はトイレから埋めるのが効率的。
  5. 5防災庁の発足で備蓄が義務化されるわけではない。それでも事前防災の重視は確実で、備えのある企業が評価される流れにある。

01結論:企業の防災備蓄は「義務」なのか

企業の備蓄をめぐる決まりは、強さの違う3つの層に分かれています。「条例の努力義務」「法律上の義務」「国の指針」。これを混ぜて語ると、「義務だから必ずやる」「努力義務だからやらなくていい」のどちらにも話が振れてしまいます。

企業の防災備蓄にかかわる根拠の整理
根拠求めていること強さ罰則
東京都帰宅困難者対策条例(2013年4月施行)従業者の施設内待機のため、3日分の飲料水・食料などを備蓄するよう努める(第7条第2項)努力義務なし
大阪市防災・減災条例(2015年2月施行)事業所の安全確保や防災資機材の整備、事業継続計画の作成など努力義務なし
労働契約法 第5条(安全配慮義務)労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ働けるよう、必要な配慮をする法的義務刑事罰はないが、違反があれば損害賠償の対象になり得る
内閣府 帰宅困難者対策ガイドライン(2026年1月改定)全従業員の3日分の備蓄を目安に、外部向けに1割程度を上乗せ指針なし

罰則がないからといって、備えがなくてよいことにはなりません。安全配慮義務の裁判では、危険を予見できたか、避けるための措置をとっていたかが争点になります。東日本大震災でも、津波で従業員が亡くなった事案で企業の安全配慮義務が争われました(七十七銀行女川支店事件など)。「国や都が目安を示している備え」をしていない状態は、説明がつきにくい弱点になり得ます。

POINT社内説明は「努力義務+安全配慮義務」の2本立てで

「条例上は努力義務で罰則はない。ただし安全配慮義務は法律上の義務で、国の指針が示す3日分の備蓄はその水準の目安になる」。経営層への説明は、この順番で組み立てると誤解が生じにくくなります。なお、本記事は法的助言ではありません。個別の判断は顧問弁護士などに確認してください。

条例のない地域の会社はどう考える?

東京都や大阪市のような条例がない地域でも、備えが不要になるわけではありません。内閣府のガイドラインは備蓄の対象を「大規模地震により被災の可能性がある全ての事業者」とし、官公庁も含めています。2026年1月の改定では、暴風や豪雨、停電などで交通が止まる場面も対象に加わりました。地震の少ない地域でも、台風や大雪で従業員が帰れなくなる日は起こり得ます。所在地の条例を確かめたうえで、自社の立地で起こりやすい災害から備蓄の優先順位を決めていきましょう。

022026年の動き:防災庁の発足と、国の指針・調査の更新

2026年は、企業防災をめぐる国の動きが集中した年です。担当者として押さえておきたい出来事を時系列にまとめました。

  1. 2025年12月

    国の首都直下地震対策検討ワーキンググループが報告書を公表。1都4県で最大約840万人の帰宅困難者、うち約250万人が要配慮者と推計。防災庁の基本方針も閣議決定

  2. 2026年1月

    内閣府が帰宅困難者対策のガイドラインを改定。名称を改め、地震以外(暴風・豪雨・停電など)で帰宅困難者が出る場面も対象に

  3. 2026年3月

    内閣府「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」公表。中堅企業の備蓄、特にトイレと毛布の不足が明らかに

  4. 2026年7月

    防災庁設置法が成立・公布。内閣府は事業継続ガイドラインの改定に向けた検討会を開始

  5. 2026年9月25日

    防災庁の発足日を11月2日とすることを閣議決定。定員352人、内閣府の防災部局を改組

  6. 2026年11月2日

    防災庁が発足(予定)。首相をトップに、事前防災から復旧・復興までを一貫して担う

防災庁で、企業の備蓄は義務になるのか

防災庁は、内閣府の防災部門を発展的に改組した組織です。首相をトップに防災相を置き、平時の事前防災から発災時の対応、復旧・復興までを一貫して担います。他の省庁に対する勧告権も持つ「司令塔」です。

一方で、2026年10月時点で、防災庁の設置によって民間企業に備蓄を義務づける規定は確認できません。変わるのは国の体制の側です。とはいえ、内閣府はすでに事業継続ガイドラインの改定に向けた検討会を7月に立ち上げ、BCPに取り組む企業が社会的に評価されるための環境づくりも議題に挙げています。「備えている会社が選ばれる」方向に進むと見て、今のうちに整えておくのが得策でしょう。

2026年1月版ガイドラインで押さえたい3点

地震以外も対象に

2026年1月の改定で、暴風・豪雨・積雪・停電・通信障害、遠地津波などで交通が止まる場面も対象として整理された。

電源の提供

一時滞在施設では、モバイルバッテリーや電源の提供にも可能な範囲で対応することが望ましいとしている。

3日分以上も検討

企業の備蓄は3日分を目安としつつ、3日分以上の備蓄も検討するよう示している。

ガイドラインの冒頭では、首都直下地震で発生する帰宅困難者約840万人のうち、約250万人が高齢者や障害者などの要配慮者と推計されています。社内にも、持病のある人や妊娠中の人、家族の介護を担う人がいるはず。備蓄を「平均的な従業員」だけで考えず、女性向けの衛生用品や、休める場所を区切るパーテーションも検討に入れておくと、待機の3日間を乗り切りやすくなります。

03何をどれだけ?1人あたりの必要量と人数別の早見表

備蓄量の基準は、内閣府のガイドラインと東京都のマニュアルでほぼ共通しています。対象は、正社員・パート・派遣などの雇用形態を問わず、事業所内で働く全従業員です。

従業員1人あたりの3日分の目安
品目1日あたり3日分関連する商品
水(ペットボトル)3L9L—(別途調達)
主食(アルファ化米・乾パンなど)3食9食アイリス 防災セット食品付き 1人用40点
毛布・保温用品—1人1枚災害救助用寝袋 8枚入
簡易トイレ5回分15回分簡易トイレ 1回分×500個
ラジオ・ライト・電池・救急用品など—物資ごとに算定

出典:内閣府「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」(2026年1月)参考資料、東京都「東京事業所防災実践マニュアル」(簡易トイレの数量)

人数別早見表(外部の帰宅困難者向け1割を含む)

従業員数別・3日分の備蓄量(1割上乗せ後)
従業員数水主食毛布簡易トイレ
10人99L99食11枚165回分
30人297L297食33枚495回分
50人495L495食55枚825回分
100人990L990食110枚1,650回分

たとえば30人の事業所なら、トイレは30人×15回=450回分に1割を足して495回分。1回分×500個入りのセット1つでほぼ収まる計算です。シフト制の職場では、在籍人数ではなく「在館人数が最も多い時間帯」を基準にすると、足りなくなる心配が減ります。

非常用 簡易トイレ 1回分×500個GC-select

30人規模の3日分+外部向け1割に

非常用 簡易トイレ 1回分×500個

500回分

500回分大人数向け

1回分ずつ個包装された500個入り。30人×3日(450回)に外部向け1割を足した495回がほぼ収まる量。

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基本の4品目に上乗せを検討したいもの

ガイドラインは、水・主食・毛布・トイレに加え、事業継続の観点から企業ごとに必要な備蓄品を検討するよう求めています。例として挙げられている品目を、使い方とあわせて整理しました。

上乗せを検討したい備蓄品(ガイドラインの例示をもとに整理)
品目の例想定する使い方関連する商品
携帯ラジオ・懐中電灯・乾電池停電中の情報収集と明かりラジオランタン LS40-F
非常用の電源通信機器や照明の維持。発電機の燃料は保管量によって消防署への手続きが必要な場合がある燃料不要のポータブル電源(MASTER1000)
ヘルメット・軍手・工具類閉じ込めからの救出や片付けレスキューツールキット(6300065881)
敷物・救急医療薬品類床で休む場所づくり、軽いけがの手当てシェアする防災セット 10人分(マグネットM)

防災セットの内容物は製品ごとに異なります。敷物や救急用品が含まれるかは商品ページで確認してください。

04実態:多くの企業で足りていないのは「トイレ」と「毛布」

内閣府が2026年3月に公表した企業調査では、大企業は飲料水・食料・トイレ・毛布のいずれも備蓄率が7割を超えた一方、中堅企業は品目ごとに5〜8割とばらつきました。特に差が大きいのがトイレです。

全従業員分を3日分以上備蓄している企業の割合

飲料水

大企業
66.1%
中堅企業
43%

食料品

大企業
65.3%
中堅企業
41.4%

簡易・携帯トイレ

大企業
55.7%
中堅企業
32.1%

出典:内閣府「令和7年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査(概要)」2026年3月。毛布は日数を問わない「あり」の割合で、大企業76.0%・中堅企業46.5%。

中堅企業では、トイレを全く備蓄していない企業が37.1%、毛布がない企業は50.2%にのぼります。何らかの備蓄をしている企業のうち、来客など従業員以外の分まで上乗せしているのは3割程度でした。水と食料を用意して「備蓄は済んだ」と考えがちな点が、数字からも読み取れます。

05トイレの備蓄:「携帯トイレ」「組立トイレ」「目隠し」の3点で考える

大地震では、断水や排水管の損傷で、建物の水洗トイレが使えなくなることがあります。便器が無事なら、袋と凝固剤の携帯トイレを便器にかぶせて使えます。便器そのものが使えない、あるいは数が足りない場合は、組み立て式の便器が必要です。さらに数日の待機では、女性や来客が安心して使える目隠しも欠かせません。

トイレ備蓄の3タイプと役割
タイプ役割数量の考え方主な商品
携帯トイレ(袋+凝固剤)既存の便器や組立便器にかぶせて使う。数量の主役1人1日5回×人数×日数
組立・簡易トイレ(便器)便器が壊れた・足りないときに、座れる場所をつくるフロアやトイレ待ちの人数に応じて複数台
目隠し(テント・仕切り)屋外や会議室に臨時の個室をつくる組立トイレの台数に合わせるトイレ用プライバシーテント

そのほかのトイレ備蓄

POINT保管場所を分けると「使えない備蓄」を防げる

内閣府のガイドラインは、備蓄品の保管場所を分散させることや、従業員へ配っておくことの検討を求めています。携帯トイレは軽くてかさばらないので、各フロアや個人のデスクに小分けして置くのに向いた品目です。

簡易トイレの一覧を見る携帯トイレ・組立トイレ・テントをGC-selectで比較

06防災セットの選び方:共有型・デスク常備型・個人リュック・衛生セット

水と食料、トイレ以外の細かな物資は、防災セットでまとめてそろえると管理が楽になります。会社で選ぶときは「誰が・どこで使うか」で4つの型に分けると、重複買いや抜けが起きにくくなります。

会社向け防災セットの4つの型
型向く使い方代表的な商品
共有型(人数単位)部署・フロア単位で1セット。管理者を決めて保管
デスク常備型(A4サイズ)個人の机や書庫に入れておき、在席中の被災に備える
個人リュック型帰宅開始時や移動時に持ち出す。営業車や現場事務所にも
衛生セット断水中の清潔の維持。女性向けを分けて用意
シェアする防災セット ベーシック30人分(マグネットM)GC-select

30人規模の部署・フロアに1セット

シェアする防災セット ベーシック30人分(マグネットM)

30人分

30人分共有型

30人分を1セットで管理できる共有型。部署単位の配備に向く。内容物は商品ページで確認を。

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人数・置き場所に合わせて選べるバリエーション

GC-selectシェアする防災セット 10人分(マグネットL)10人分の共有型。マグネット仕様のLサイズ。GC-selectシェアする防災セット 10人分(マグネットM)10人分の共有型。マグネット仕様のMサイズ。GC-selectシェアする防災セット 10人分(ステッカーL)10人分の共有型。ステッカー仕様のLサイズ。GC-selectシェアする防災セット 10人分(ステッカーS)10人分の共有型。ステッカー仕様のSサイズ。GC-selectA4ボックス持出袋 25点A4サイズの箱型・25点入り。GC-selectA4ボックス持出袋 20点A4サイズの箱型・20点入り。GC-selectA4ボックス持出袋 12点A4サイズの箱型・12点入り。GC-selectA4ボックス 反射de持出リュック 12点A4ボックスに収まる持出リュック12点。暗い中でも見つけやすい反射仕様の名称。GC-selectA4ファイルサイズ防災セット 7点(ABO-49)A4ファイルサイズに7点を厳選。デスクの引き出しに入れておける最小構成。GC-selectアイリス 防災セット 1人用27点1人用27点のリュック型セット。GC-selectアイリス 防災セット 1人用31点1人用31点のリュック型セット。GC-selectアイリス 防災セット 2人用44点2人用44点。少人数の店舗や営業所の1セット目に。GC-selectACTY 防災リュック&トート 37点リュックとトートの2点構成で37点。持ち出しと待機用を分けて使える。GC-selectACTY 防災リュック&トート 25点リュックとトートの2点構成で25点。GC-select防水ドライバッグ 17点 20L20Lの防水ドライバッグに17点。浸水しやすい1階や屋外倉庫への配備にも。GC-select衛生防災セット おたすけ丸(一般向け)衛生用品をまとめたセット。断水時の身だしなみ・清潔の維持に。

POINT従業員自身の備えも呼びかける

内閣府のガイドラインは、企業だけでなく従業員自らも、常備薬や携帯電話用の電源、歩きやすい靴などを職場に置いておくよう勧めています。会社の備蓄と個人の備えを組み合わせると、予算を抑えつつ抜けを減らせます。

防災セットの一覧を見る共有型・A4型・リュック型をGC-selectでまとめて比較

07電源と情報:停電中も安否確認と情報収集を止めない

待機中の3日間、従業員が最も気にするのは家族の安否と交通の情報です。内閣府のガイドラインは、備蓄の「特に必要性が高いもの」に携帯ラジオ・懐中電灯・乾電池を挙げ、従業員自身にも携帯電話用の電源を備えるよう勧めています。現行のガイドラインは、一時滞在施設でモバイルバッテリーや電源を提供することにも触れています。

計算例:30人のスマートフォンを3日間充電する

  • ・1台1回の充電を約15Whと仮定 → 30人×1日1回×3日=1,350Wh
  • ・変換ロスを見込んで0.8で割ると、必要な容量は約1,700Wh
  • ・2kWh級の大容量機1台か、中型機を複数台に分けて配置するのが目安

1台あたりの電力量と係数0.8は編集部の仮定値です。実際は機種の表示や仕様で確認してください。

電源・情報機器の使い分け
機器特徴(確認できた仕様)向く役割
TogoPower MASTER2200MASTERシリーズの大型機。シリーズは停電時の自動切替(M-UPS)をうたう本部・受付のスマホ充電、通信機器
TogoPower MASTER1800NEWMASTERシリーズの1800クラスフロアごとの充電拠点
TogoPower MASTER1000MASTERシリーズの1000クラス小規模事務所の1台目
TogoPower INFINITY 600定格600W・容量560Wh、リン酸鉄リチウム分散配置用の中型機
TogoPower INFINITY PLUS600INFINITYシリーズのPLUSモデル分散配置用の中型機
B2000 SST 固体電池ポータブル電源固体電池を採用仕様を確認のうえ大型機の候補に
200Wポータブル電源 153.6Wh153.6Wh、パススルー対応受付の常設充電スポット
CICONIA ソーラーダイナモラジオライト太陽光・手回し充電のラジオライト情報収集と非常灯
ラジオランタン LS40-F4WAY電源のラジオ付きランタン待機スペースの明かり
あかリン専用 ソーラー電源ユニットあかリン専用のソーラー電源ユニット対応機器を使っている現場向け

仕様は販売店・量販店の掲載情報によるもの。容量・出力が空欄の機種は商品ページで確認してください。

バッテリーアイテムの一覧を見るポータブル電源・ラジオ・ライトをGC-selectで探す姉妹サイト停電時の熱中症対策完全ガイド(熱中症対策ナビ)夏の停電で待機するときの暑さ対策を、熱中症の視点でまとめています

08救護・救助用品:待機中の「けが人」と「混乱」に備える

大地震の直後、行政は救命・救助や消火を最優先にします。ガイドラインが想定するのは、発災から3日目までは行政がその対応に集中し、4日目以降に帰宅支援へ移っていく流れです。その間に社内でけが人が出ても、すぐに救急車が来るとは限りません。施設内で待機する以上、応急の救護と、人の誘導・表示は自社で回せるようにしておく必要があります。

施設内待機中に必要になる救護・救助用品
場面必要になること主な商品
けが人の搬送エレベーター停止時に階段で運ぶ
救護スペース手当てや休養の場所を区切り、場所を示す
閉じ込め・救出家具やドアに挟まれた人の救出、扉への救援表示
誘導・点呼停電した館内や屋外での指示出しルミナスメガPlus TS-533L
夜間の待機保温と休息、防犯

救出作業は「安全が確保できる範囲」で

余震の続く中での救出は、助けに入った人が二次被害に遭うおそれがあります。工具は安全が確保できる範囲で使い、倒壊の危険がある場所には立ち入らないこと。重いけがや意識のない人がいる場合は、つながる限り119番への通報を続けてください。

救助アイテムの一覧を見る担架・救助工具・救護用品をGC-selectで比較

09保管と期限管理:備蓄を「使える状態」に保つ5つのルール

東京都の調査(2017年)では、従業員向けに水・食料を3日分以上備蓄している事業者は50.1%で、従業員規模が小さいほど備蓄が進んでいませんでした。買って終わりにせず、いざという時に取り出せる状態を保つ仕組みまで決めておくことが、備蓄の仕上げになります。

  1. 1置き場所を分散し、全員に知らせる1か所に集めると、そこが被災した時点ですべて使えなくなるおそれ。フロアごとに分け、場所を従業員に共有しておくことは東京都のマニュアルも求めています。
  2. 2管理担当と点検日を決める誰が、いつ、何を確認するかを決めておきましょう。年1回以上の訓練の日に合わせると忘れにくくなります。
  3. 3期限の近いものは訓練で使う期限切れの食料を災害時に配るのは慎重に、とガイドラインも注意しています。訓練で試食・試用して入れ替えるのが確実な方法。
  4. 4浸水しない高さに置く1階や地下に置いた備蓄は、水害で一度に使えなくなるおそれがある。台風や豪雨の多い地域では、上階への保管と止水対策をセットで考えましょう。
  5. 5数量の基準を毎年見直す人員の増減やテナント入居、来客数の変化で必要量は変わるもの。人数別の早見表を基準表として社内に残しておきましょう。

訓練で備蓄を「使ってみる」

ガイドラインは、年1回以上の実動訓練や図上訓練で手順を確かめ、改善していくよう求めています。備蓄の点検は、この訓練に組み込むのが効率的。組立トイレを実際に組む、携帯トイレの使い方を全員で確認する、ポータブル電源で何台のスマホを充電できるか試す、担架で階段を下りてみる。使ってみて初めて「人数に対して少ない」「置き場所が遠い」と気づくことも多いものです。訓練の記録は、備えの状況を社内外に説明する材料にもなります。

2026年9月の台風25号では、千葉県の印旛沼で堤防が決壊しました。地震だけでなく水害でも備蓄が失われ得ることを前提に、保管場所の浸水対策も見直しておくと安心です。

入口ごとの止水板・土のうの必要数は企業の水害対策グッズの記事で、備蓄品を整理して置く棚は災害備蓄ラックの選び方で詳しく解説しています。

姉妹サイト防災備蓄の夏の保管方法(熱中症対策ナビ)高温になりやすい倉庫での保管の注意点を別の記事で紹介

Q&Aよくある質問

Q1企業の防災備蓄は法律で義務づけられていますか?

A全国一律で備蓄を義務づけた法律はありません。東京都帰宅困難者対策条例は従業員3日分の備蓄を求めていますが、努力義務で罰則はありません。一方で、労働契約法第5条の安全配慮義務はすべての使用者に課される法的義務。災害時に従業員を守る備えが不十分なら、その点が問われるおそれがあります。

Q2東京都以外の会社にも備蓄は必要ですか?

A必要と考えるのが実務的です。内閣府のガイドラインは、大規模地震で被災する可能性のある全ての事業者を備蓄の対象としています。大阪市防災・減災条例のように、事業者に防災資機材の整備などを求める条例を持つ自治体もあります。所在地の条例もあわせて確認してください。

Q3従業員1人あたり何をどれだけ備蓄すればいいですか?

A3日分として、水は1人1日3リットルで計9リットル、主食は1日3食で計9食、毛布は1人1枚が目安です。簡易トイレは東京都の目安で1日5回分、計15回分。来客など外部の帰宅困難者向けに、1割程度を上乗せすることも国のガイドラインに示されています。

Q4パートやアルバイトの分も必要ですか?

A内閣府のガイドラインは、正規・非正規を問わず事業所内で勤務する全従業員を対象としています。シフト制の職場では、在館人数が最も多い時間帯を基準に数量を決めるのが安全です。

Q52026年11月に防災庁ができると、企業の備蓄は義務になりますか?

A2026年10月時点で、防災庁の設置によって民間企業に備蓄を義務づける規定は確認できません。ただし防災庁は事前防災の推進を掲げており、国では事業継続ガイドラインの改定に向けた検討も進んでいます。備えている企業が評価される方向へ進むとみて、早めに整えておくのが得策です。

Q6企業の備蓄で一番不足しやすいものは何ですか?

Aトイレです。内閣府の2026年3月公表の調査では、中堅企業で簡易・携帯トイレを3日分以上備えているのは32.1%にとどまり、37.1%は備蓄がありませんでした。飲料水や食料より後回しにされやすい品目です。

✓まとめ:「義務かどうか」より「説明できる備え」を

企業の防災備蓄は、条例上は努力義務にとどまります。それでも、従業員の安全に配慮する義務は法律で定められており、国や自治体は3日分という具体的な目安を示しています。防災庁の発足を控えた今、問われるのは「義務かどうか」より、従業員と来客を守る備えを数字で説明できるかどうかです。

  1. 1根拠は「条例の努力義務」「安全配慮義務」「国の指針」の3層で整理する
  2. 2全従業員の3日分(水9L・主食9食・毛布1枚・トイレ15回分)に、外部向け1割を上乗せする
  3. 3不足しやすいトイレと毛布から先に埋め、電源・ラジオ・救護用品で待機の3日間を支える
  4. 4分散保管・管理担当・訓練での入れ替えを決め、浸水しない場所に置く

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ご利用にあたって

本記事は、公的機関の公表資料と販売店の掲載情報(2026年10月時点)にもとづく一般的な情報です。法的助言ではありません。条例や制度の適用、安全配慮義務の判断は個別の事情で変わるため、必要に応じて専門家に相談してください。価格・在庫・仕様の最新情報は各商品ページで確認してください。

参考にした公的資料

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