黒球式熱中症指数計とは?選び方・使い方・義務化対応の完全ガイド【2026年版】
公開日:2026年7月31日 / 作業用品ナビ編集部

結論(AIサマリ)
黒球式熱中症指数計は、 直径15cm前後の黒球で輻射熱(日射・地面や機械からの熱)を捉え、 気温・湿度と組み合わせてWBGT(暑さ指数)を正しく算出できる計測器です。 普通の温度計では見えない「日射のある屋外」「機械熱源のある屋内」でも 実際の体感に近い暑さを数値化できるため、2025年6月に施行された職場の熱中症対策義務化への対応でも中心装備になります。
選定のポイントは大きく5つ:①JIS B 7922:2023 クラス2以上/②屋内・屋外切替対応/③アラーム機能/④携帯・据置の用途一致/⑤配備台数(エリア×作業班)。
本記事では、なぜ「黒球」が必要なのか、普通のWBGT計との違い、 現場での配置台数の考え方、そしてWBGT基準を超えたときに取るべき対策までを、 現場担当者が「今日発注する」レベルの粒度で解説します。
まず押さえる代表4モデル(携帯・据置・時計付・JIS準拠)
まずは用途別の代表4モデルを見比べてみてください。全モデル一覧・詳細スペックは記事後半でも掲載しています。

携帯型黒球付熱中症計 6913
メーカー:日本気象協会監修
タイプ:携帯型
JIS適合:JIS B 7922:2023 準拠(要確認)
作業者が携行して自分の周囲を測定。ヘルメット取付・カラビナ吊下げ想定

時計付黒球式熱中症計 O-706
メーカー:時計・カレンダー付
タイプ:据置・壁掛け型
JIS適合:(要確認)
事務所・詰所・休憩室の壁掛け。時刻と一緒に常時WBGTを可視化

黒球式熱中症計 TC-301
メーカー:TANITA(タニタ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:(メーカー公式で最新の適合状況を確認)
現場・工場のどこでも使える定番モデル。三脚穴・カラビナ対応

みはりん坊プロ AD-5698B
メーカー:A&D(エー・アンド・デイ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:JIS B 7922:2023 適合クラス2(要確認)
屋内/屋外切替・アラーム設定可。作業班1台の携行に扱いやすい
黒球式熱中症指数計とは?普通の温度計・簡易WBGT計との違い
黒球式熱中症指数計は、環境省・厚生労働省・JISが採用しているWBGT(湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)を、 物理的な黒球(直径約15cm、つや消し黒色に塗装された銅球)を使って正しく測るための計測器です。
「暑さ指数」と呼ばれるWBGTは、単なる気温ではなく、①乾球温度(気温)/②湿球温度(湿度)/③黒球温度(輻射熱)の3つの温度から算出されます。特に③黒球温度は直射日光・地面からの照り返し・機械からの放熱を数値に反映するための不可欠な要素で、 これが測れないと「屋外の炎天下」や「工場の熱源近く」では実際のリスクを大幅に見落とします。
WBGTの計算式(環境省 熱中症予防情報サイト)
| 環境 | 計算式 |
|---|---|
| 屋外(日射あり) | WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度 |
| 屋内・日射なし | WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度 |
出典:環境省 熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)
なぜ「黒球」が必要なのか|温度計・簡易WBGT計・黒球式の3段階比較
市場には「温度計」「気温+湿度からWBGTを推定する簡易WBGT計」「黒球式のWBGT計」の3種類があります。 違いを一覧にすると次の通りです。
| タイプ | 測るもの | 直射日光下の精度 | 熱源近く(工場・厨房) | 義務化対応 |
|---|---|---|---|---|
| ①温度計・寒暖計 | 気温のみ | 低(気温だけ) | 低 | × |
| ②簡易WBGT計(黒球なし) | 気温+湿度から推定 | 中(誤差大きい) | 低(輻射熱を捉えられない) | △(実測とは言い難い) |
| ③黒球式熱中症指数計 | 気温+湿度+黒球温度 | 高(本来のWBGT) | 高(輻射熱を反映) | ○ |
特に建設現場・工場・倉庫・イベント会場のような 「直射日光」「熱源」「アスファルト放熱」がある環境では、 ①や②で判断するとリスクを見落とします。改正省令もWBGT値を判定基準にしているため、実測できる黒球式を配備するのが実務上のスタート地点です。
現場での注意点
2025年6月施行|職場の熱中症対策義務化と黒球式WBGT計
令和7年(2025年)6月1日、改正労働安全衛生規則が施行され、 職場の熱中症対策は努力義務から罰則付きの法的義務に変わりました。 対象は、WBGT28℃以上または気温31℃以上の作業場で、継続して1時間以上、または1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業です。
事業者に課される3義務は以下の通りです。
- ①早期発見のための体制整備(連絡先・担当者・報告フロー)
- ②重篤化を防ぐための実施手順の作成(作業離脱・冷却・救急対応)
- ③関係作業者への周知(掲示・朝礼・書面)
違反時の罰則は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。 そして、これらの義務履行の前提として、WBGT値の測定・記録・活用が実務上ほぼ不可欠です。 「WBGT値の把握」を実測ベースで行うには、地域予測値だけでなく現場ごとのWBGT計配備が必要になります。
現場での注意点
黒球式熱中症指数計の選び方|押さえるべき7つのポイント
①JIS B 7922:2023 適合・クラスを確認する
電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計の日本工業規格。クラス1.5(高精度)とクラス2(一般用途)があり、 事業所での熱中症対策としてはクラス2適合を最低ラインと考えるのが実務的です。 仕様書やパッケージに「JIS B 7922:2023 適合」「クラス2」と明記された製品を選びます。
②屋内・屋外の切替に対応しているか
WBGTの計算式は屋外(日射あり)と屋内(日射なし)で異なります。 IN/OUT切替のあるモデルは1台で両方の環境をカバーでき、詰所と現場を行き来する運用に向きます。
③アラーム機能・警報レベルの段階
現場では「見に来ないと数値がわからない」状態を作らないことが重要です。 注意・警戒・厳重警戒・危険の4段階以上でアラームが鳴り、 危険レベルでランプ点灯するモデルは、騒音下や視覚優位の現場でも見落としを減らせます。
④携帯型/据置・壁掛け型/時計付の使い分け
作業班や職長が携行する場合は携帯型、 詰所・休憩室・工場ラインなど決まった場所を常時監視するなら据置・壁掛け型、 休憩時間の意思決定に使うなら時計付が便利です。 規模の大きな現場では携帯+据置の組み合わせが基本になります。
⑤取付方法・アクセサリ
三脚穴(1/4インチネジ)、カラビナ吊下げ、ヘルメット取付、ベルクロバンド、 マグネット固定など、現場でどこに設置するかに合わせて選びます。 特に建設現場では三脚に載せて作業高さ(1〜1.5m)に置くと運用が安定します。
⑥電源方式・稼働時間
コイン電池(CR2032)/単3・単4/USB給電/AC電源など、 運用形態に合わせて選びます。 屋外常設なら電池切れリスクの少ないAC給電、携行なら電池式が向きます(詳細な稼働時間は各メーカーの最新カタログをご確認ください)。
⑦表示のわかりやすさ・大画面
チーム全員から視認するなら大画面・大文字・カラー段階表示のモデルが有利。 個人が確認するだけなら小型軽量なコンパクトモデルが取り回しよく選ばれます。
【シーン別】どの黒球式熱中症指数計を選ぶべきか
建設現場・土木現場(屋外/複数の作業班)
直射日光・アスファルト放熱・鉄筋などの熱源が重なる屋外現場では、屋外切替対応・アラーム付き・携帯型を作業班に1台配備し、 詰所には時計付・大画面の据置型を置いて全員の意思決定を統一するのが基本形です。

携帯型黒球付熱中症計 6913
メーカー:日本気象協会監修
タイプ:携帯型
JIS適合:JIS B 7922:2023 準拠(要確認)
作業者が携行して自分の周囲を測定。ヘルメット取付・カラビナ吊下げ想定

黒球型携帯熱中症計 SK-181GT
メーカー:佐藤計量器製作所
タイプ:携帯型
JIS適合:JIS B 7922:2023 適合クラス2(要確認)
計量器メーカーの携帯モデル。カラビナ・ベルクロで作業着に装着
工場・倉庫(屋内/機械熱源あり)
機械・溶鉱炉・厨房などの熱源近くは、気温・湿度以上に輻射熱が大きく効きます。 ライン脇に据置・壁掛け型を常設し、 巡回者は携帯型で各ポイントの実測値を記録する運用が現実的です。

黒球式熱中症指数計 TT-562N
メーカー:TANITA(タニタ)
タイプ:据置・壁掛け型
JIS適合:(メーカー公式で最新の適合状況を確認)
詰所・休憩所・工場ライン脇。大型表示でチーム全員から見える

黒球式熱中症計 TC-301
メーカー:TANITA(タニタ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:(メーカー公式で最新の適合状況を確認)
現場・工場のどこでも使える定番モデル。三脚穴・カラビナ対応
物流・配送センター(屋内外の入り繰り)
屋内荷捌き場と屋外の荷積み・積替え場で条件が大きく変わるため、IN/OUT切替のある携帯型を各エリアリーダーが持ち、 必要に応じて実測して作業停止・休憩投入を決めます。

みはりん坊プロ AD-5698B
メーカー:A&D(エー・アンド・デイ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:JIS B 7922:2023 適合クラス2(要確認)
屋内/屋外切替・アラーム設定可。作業班1台の携行に扱いやすい

黒球式熱中症計 TC-301
メーカー:TANITA(タニタ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:(メーカー公式で最新の適合状況を確認)
現場・工場のどこでも使える定番モデル。三脚穴・カラビナ対応
イベント・スポーツ・学校(屋外/不特定多数)
屋外イベント・部活動・運動会などでは、三脚に据えて可搬しやすい携帯型・据置両用が便利です。 日本スポーツ協会も同じWBGT値を運動の目安として採用しているため、教育現場でも判定基準はそのまま使えます。

黒球式熱中症計 TC-301
メーカー:TANITA(タニタ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:(メーカー公式で最新の適合状況を確認)
現場・工場のどこでも使える定番モデル。三脚穴・カラビナ対応

みはりん坊プロ AD-5698B
メーカー:A&D(エー・アンド・デイ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:JIS B 7922:2023 適合クラス2(要確認)
屋内/屋外切替・アラーム設定可。作業班1台の携行に扱いやすい
事務所・詰所・休憩室(据置常設)
時刻表示と一体化した壁掛け型は、休憩時間・作業再開の判断に自然と目が向く動線を作れます。 チーム内でWBGT値の共通認識を持たせる意味でも据置1台の常設は費用対効果が高い施策です。

時計付黒球式熱中症計 O-706
メーカー:時計・カレンダー付
タイプ:据置・壁掛け型
JIS適合:(要確認)
事務所・詰所・休憩室の壁掛け。時刻と一緒に常時WBGTを可視化

【全モデル】gc-select取扱の黒球式熱中症指数計
用途別に上で紹介した機種を含め、gc-selectで取り扱う黒球式熱中症指数計の全ラインアップです。 型番・仕様の最新値は各商品ページでご確認ください。

携帯型黒球付熱中症計 6913
メーカー:日本気象協会監修
タイプ:携帯型
JIS適合:JIS B 7922:2023 準拠(要確認)
作業者が携行して自分の周囲を測定。ヘルメット取付・カラビナ吊下げ想定

時計付黒球式熱中症計 O-706
メーカー:時計・カレンダー付
タイプ:据置・壁掛け型
JIS適合:(要確認)
事務所・詰所・休憩室の壁掛け。時刻と一緒に常時WBGTを可視化

黒球式熱中症計 TC-301
メーカー:TANITA(タニタ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:(メーカー公式で最新の適合状況を確認)
現場・工場のどこでも使える定番モデル。三脚穴・カラビナ対応

黒球式熱中症指数計 TT-562N
メーカー:TANITA(タニタ)
タイプ:据置・壁掛け型
JIS適合:(メーカー公式で最新の適合状況を確認)
詰所・休憩所・工場ライン脇。大型表示でチーム全員から見える

黒球型携帯熱中症計 SK-181GT
メーカー:佐藤計量器製作所
タイプ:携帯型
JIS適合:JIS B 7922:2023 適合クラス2(要確認)
計量器メーカーの携帯モデル。カラビナ・ベルクロで作業着に装着

みはりん坊プロ AD-5698B
メーカー:A&D(エー・アンド・デイ)
タイプ:携帯・据置両用
JIS適合:JIS B 7922:2023 適合クラス2(要確認)
屋内/屋外切替・アラーム設定可。作業班1台の携行に扱いやすい

WBGTが基準値を超えたときにやるべきこと|対策アイテムの選び方
WBGT計はあくまで「判定」の道具です。基準値を超えたら、その先の「作業計画の見直し」と「環境・個人の冷却」があって初めて意味を持ちます。 現場で即使える対策アイテムを、目的別に整理します。
環境を冷やす:スポットクーラー・工場扇・冷風機
屋内の詰所・工場・倉庫ではスポットクーラーで気温を下げ、 工場扇・冷風機で気流を作って湿球温度への効果を高めます。 気温だけでなく湿度・気流もWBGTの構成要素なので、風を作る対策は数値にも効きます。
身体を冷やす:冷感インナー・空調服・アイスベスト・遮熱タレ
屋外作業では環境の冷却が難しいため、個人装備の冷却が主戦力になります。 冷感コンプレッションシャツ・空調ベスト・フローズンベスト・ヘルメット遮熱タレ・ アイスジェルインナーなどを組み合わせて熱ストレスを下げます。
測る道具を増やす:温湿度計・計測器
黒球式熱中症指数計に加えて、詰所や倉庫内の温湿度を継続的に把握する温湿度計・計測器を 組み合わせると、対策の効き具合をデータで確認できるようになります。
何台必要?現場での配備台数と配置の考え方
「1台あれば十分」と考えがちですが、実際にはエリア・作業班ごとに条件が変わるため、1つの現場で複数台の配備が実務的です。目安を表にまとめます。
| 現場タイプ | 据置・壁掛け | 携帯型 | 合計目安 |
|---|---|---|---|
| 小規模建設現場(1班・1エリア) | 詰所に1台 | 職長1名に1台 | 2台 |
| 中規模建設・土木現場(複数班) | 詰所・休憩所に1〜2台 | 作業班ごとに1台 | 3〜5台 |
| 工場・倉庫(複数ライン) | ライン脇・出荷口に各1台 | 巡回者に1台 | 3〜6台 |
| 物流センター(屋内外) | 屋内荷捌きに1台 | 屋外リーダーに1台 | 2〜3台 |
| 屋外イベント・スポーツ | 本部テントに1台 | 係員リーダーに1台 | 2台 |
離れた場所は同じWBGT値と見なさないのが原則。 日陰・日向・風通し・熱源で数℃違うため、記録も場所ごとに残すのが安全側の運用です。
正しい使い方・設置の注意点|よくある誤りと回避策
- 作業者の高さ(腰〜胸あたり、目安1〜1.5m)に設置する。
- 直接的な冷風・熱風の吹き出し口を避ける。
- 黒球部を布・シールなどで覆わない。
- 風通しを妨げない位置に置く(壁ピッタリ×)。
- 直射日光下でも問題ないが、雨や粉塵の直接暴露は避ける。
- 冷房のきいた事務所から屋外に持ち出した直後は5〜10分の平衡時間を取る。
- シーズン開始前に黒球部の埃を柔らかい布で拭き取り、複数台で読み合わせ点検する。
現場での注意点
よくある質問(FAQ)
Q. 黒球式熱中症指数計とは何ですか?
A. 黒球式熱中症指数計は、直径15cm前後の黒球で輻射熱(日射・地面や機械からの熱)を捉え、湿度・気温と合わせてWBGT(暑さ指数)を算出する計測器です。通常の温度計や湿度計では捉えられない放射熱を含んで測定できるため、屋外の直射日光下や工場の熱源近傍で実際の体感に近い暑さを数値化できる唯一のタイプです。
Q. 普通の温度計や気象庁の気温データではだめですか?
A. 気温は熱ストレス4要素(気温・湿度・輻射熱・気流)のうち1つしか捉えられません。特に直射日光下や機械熱源のある現場では、体感WBGTが気温より3〜5℃以上高くなることが珍しくなく、気温だけで判断すると熱中症リスクを大幅に見誤ります。改正省令もWBGT値による判定を基準にしているため、現場配備のWBGT計が必要です。
Q. WBGT計と黒球式熱中症指数計は違うものですか?
A. 本質的には同じ意味で使われることが多いです。ただし、WBGT計と呼ばれる製品の中には簡易的に気温と湿度からWBGT相当値を推定するタイプもあり、それでは屋外や熱源近傍で誤差が大きくなります。「黒球式」と明記された製品は物理的な黒球で輻射熱を測っており、環境省・JIS規格に沿った本来のWBGT測定ができます。
Q. JIS B 7922:2023 クラス2とは何ですか?
A. JIS B 7922:2023は電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計の規格で、クラス1.5(高精度)とクラス2(一般用途)の精度区分があります。事業所での熱中症対策としては、まずクラス2適合品を目安に選ぶのが実務的で、厚生労働省のクールワークキャンペーンでもJIS準拠品の使用が推奨されています。
Q. 2025年6月の義務化で、WBGT計を持っていないと違反ですか?
A. 改正労働安全衛生規則ではWBGT値または気温を基準に「熱中症のおそれがある作業」を判定します。基準を超える環境で作業する事業者には体制整備・手順作成・関係者への周知が義務付けられ、違反時は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科され得ます。義務履行の証跡としてもWBGT値の測定・記録が実務上ほぼ必須です。
Q. 屋内でも黒球式は必要ですか?
A. はい、必要な場面が多くあります。工場・倉庫・厨房などでは機械やコンロなどの熱源から強い輻射熱が発生し、気温・湿度以上に体感が悪化します。黒球式はこの輻射熱を数値に反映できるため、屋内でも気温だけでは見えないリスクを可視化できます。
Q. 携帯型と据置型はどちらを選ぶべきですか?
A. 作業班単位で移動しながら測る場合や、作業者個人に持たせる場合は携帯型が向きます。詰所・休憩室・工場の同じライン脇など、決まった場所を常時監視したい場合は据置・壁掛け型が向きます。多くの現場で両方を組み合わせるのが実務的です。
Q. 何台くらい配備すればよいですか?
A. 作業エリアが分かれる場合、原則としてエリアごとに1台の据置と、作業班または職長1名につき1台の携帯型を目安にします。改正省令が求めるのは「実測に基づく判定」なので、離れた場所は同じ値とみなさず個別に測るのが安全側の運用です。
Q. 屋外用と屋内用を切り替える機能は必要ですか?
A. WBGTの算出式が屋外(日射あり)と屋内(日射なし)で異なるため、切替機能付きが便利です。切替機能がないモデルはどちらか一方に固定されているので、屋外現場と詰所を両方監視したい場合は切替可能なモデルを選ぶと運用が楽になります。
Q. 測定にはどれくらいの時間がかかりますか?
A. 多くの機種で20〜30秒間隔で自動更新されます。ただし、設置直後は本体温度が周囲に馴染むまで数分の平衡時間が必要です。冷房のきいた事務所から炎天下に持ち出した直後の値は参考程度にとどめ、5〜10分置いて安定した値を記録として採用するのが実務的です。
Q. 設置場所で気を付けることは?
A. ①作業者の高さ(腰〜胸あたり、目安1〜1.5m)に設置する、②直接的な冷風・熱風の吹き出し口を避ける、③黒球部を布などで覆わない、④風通しを妨げない位置に置く、⑤直射日光下でも問題ないが、雨がかからない工夫は必要、が基本です。
Q. アラーム機能は本当に必要ですか?
A. 現場では音がないと数値を見に来ないため、アラーム付きが実務的にほぼ必須です。危険レベル到達時にランプが点灯するタイプは、騒音の大きい工場や難聴傾向のある作業者にも有効です。区分ごとに音を変えるモデルは初動判断がしやすくなります。
Q. 熱中症警戒アラートと現場WBGT計の関係は?
A. 熱中症警戒アラートは環境省・気象庁が地域ごとの予測WBGTに基づいて発令する広域情報です。ただし現場の実際のWBGTは、日射・機械熱・アスファルト放熱などで地域予測より数℃高くなる場合があるため、アラートと現場実測の両方を確認する運用が推奨されます。
Q. 三脚に取り付けたいのですが、対応モデルはありますか?
A. 多くの黒球式熱中症指数計は三脚穴付き(1/4インチネジ)を備えています。カメラ用の中型三脚に取り付ければ、作業高さ(1〜1.5m)で安定して設置できます。屋外イベント・スポット作業の常設が難しい現場で有効です。
Q. 電池の持ちはどれくらいですか?
A. モデルによりますが、コイン電池(CR2032等)で数か月〜1年、単3・単4電池で数百時間〜数千時間が目安です。夏季の連続運用では予備電池を必ずストックし、シーズン前に交換する運用が安全です。
Q. 屋外に一年中設置してよいですか?
A. 多くの機種は動作環境0〜50℃・湿度20〜90%の範囲での使用を想定しており、豪雨・凍結・積雪への直接暴露は避けるのが基本です。屋外常設する場合はケース内設置や庇の下に置くなど、機器保護の工夫が必要です。
Q. 測定した値はどう記録・共有すればよいですか?
A. 紙の点検表・スプレッドシート・スマホアプリいずれでも構いませんが、日時・場所・値・作業内容・対応措置をセットで残すのが基本です。改正省令下では周知の記録として労働基準監督署の確認対象にもなり得るため、少なくとも夏季の記録は保管しておくと安心です。
Q. WBGTが基準値を超えた場合、どうすればよいですか?
A. ①作業計画を見直し休憩を増やす、②スポットクーラー・工場扇・ミストで環境を冷やす、③空調服・冷感インナー・アイスベストなどの個人用冷却装備を使う、④体調不良者を出さないための巡視と声掛けを増やす、が基本セットです。単に「頑張らせない」判断ができる体制作りが最重要です。
Q. 黒球式熱中症指数計の値と体感が違うのはなぜですか?
A. WBGTは気温・湿度・輻射熱の物理的な指標であり、個人の順化状態・年齢・持病・睡眠不足・水分摂取状況などは反映されません。同じWBGT環境でも個人差で発症リスクは大きく変わるため、WBGT値はあくまで判断基準の1つとし、体調管理・巡視と併用する必要があります。
Q. ラジオ体操やイベントの熱中症対策としても使えますか?
A. はい。屋外の朝礼・スポーツイベント・小学校の運動会・建設現場の朝夕点呼など、集団が屋外にいる場面すべてで有効です。日本スポーツ協会は運動の目安として同じWBGT値を採用しており、教育現場・部活動でも同じ計測器で判定できます。
Q. メンテナンスは必要ですか?
A. 黒球部の表面が汚れると輻射熱の吸収特性が変わり誤差が出るため、シーズン開始前に埃を柔らかい布で拭き取る点検が推奨されます。落下や強い衝撃を受けた場合はセンサーの精度に影響するため、シーズン前に別のWBGT計と読み合わせを行うと安心です。
Q. 複数台配備する際、どの機種を組み合わせるとよいですか?
A. 詰所・休憩室に据置1台+各作業班に携帯1台の組み合わせが実務的です。据置は時計付きモデルにするとチームで自然に確認する動線ができ、携帯は屋内/屋外切替とアラーム付きを選ぶと汎用性が高まります。
まとめ|黒球式WBGT計は「義務化対応のスタート地点」
黒球式熱中症指数計は、単なる温度計や簡易WBGT計では見えない「輻射熱」を数値化し、 屋外の直射日光下や工場の熱源近くでも実際の体感に近いWBGT値を測定できる唯一のタイプです。 2025年6月に始まった職場の熱中症対策義務化の中心装備であり、「WBGT値を実測する仕組みを持つ」ことが、義務履行のスタート地点になります。
用途・現場規模に合わせて携帯型と据置型を組み合わせ、 必要に応じてスポットクーラー・工場扇・冷感グッズなど「基準値を超えた後の対策」も同時に整えていきましょう。
まずは一台、正しい黒球式WBGT計の配備から
2025年6月からの職場の熱中症対策義務化では、WBGT値の把握が起点になります。 黒球式であれば、屋外の直射日光下でも輻射熱を織り込んだ正しい暑さ指数を測定できます。